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分類:科学・技術

地球を救う新世紀農業―アグロエコロジー計画

地球を救う新世紀農業ちくまプリマ―新書
 吉田 太郎 著
筑摩書房 ; 2013年3月

 食料危機は、大規模で工業化された農業をより一層進めていくと、乗り越えられるのだろうか?今までのように、化石資源をトラクターや温室の燃料に、農薬の原料に使えるとは、考えられない。
 では、どんな農業に期待できるのか。それは、農薬や化学肥料を使わない自然と調和した農業であるアグロエコロジーだという。有機農業と出発点は同じだが、農薬や化学肥料を買う余裕のない開発途上国の農民が始め、緑の革命型の農業やお金儲けを目指す企業型有機農業を見直す社会現象にもなっている。
 古代農法を取り入れ、研究者だけで研究を行うのではなく農民と一緒に行う『農民参加型試験開発』が、広がっている。たとえば、高畝で洪水から守り、さらに保温をするインカの古代農業。単一作物ではなく、さまざまな作物を交えて栽培して、害虫の被害を防ぐケニアの方法。灌漑用水を削減できるマダガスカルのイネの栽培方法など。開発途上国の貧しい農民のために役立つ農法の開発が、多数紹介されている。また、ブラジルの、土地なし農民が、空き地を政府と交渉して耕作している社会運動も取り上げている。
 開発途上国で広がっている農法は、日本では、あまり知られていないだろうが、石油が潤沢に使えなくなる時代のヒントになるかもしれない。
 少しでも農業に興味をもってもらおうと、映画やアニメのギャグを交えている。多くの情報から正しい判断の仕方も案内している。    

科学読物研究会     増本 裕江