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分類:科学技術

ご当地電力はじめました!

ご当地電力はじめました!岩波ジュニア新書
高橋真樹 著
岩波書店 ; ISBN978-4-00-500795-0 C0236 ; (2015年1月20日)

 日本ではエネルギーといえば電気という考えが強いのですが、一般家庭でエネルギーとして使うのは暖房や給湯といった熱エネルギーが三分の二で残りが電気です。ですから電気を使ってお湯を沸かすよりも太陽熱を直接熱エネルギーとして使う太陽熱温水器を利用するほうがずっと効率が良いし、高性能の断熱材をもっと利用すれば「家の燃費」は格段に良くなります。また、発電所で燃料から電気をつくり送電線を通して家庭に届くまでにエネルギーは60?70%もロスしているといいます。
 本書はエネルギー効率という観点から、電気に頼り過ぎる生活を見直すよう促しています。そのうえでエネルギーの自給自足という、分散型で効率の良い発電システムを市民の手で作り出している地域を紹介しています。「北海道グリーンファンド」の呼びかけに応じた一般の市民からの出資をもとにできた日本初の市民風車「はまかぜちゃん」、地域ぐるみで太陽光発電を広めた「おひさまの町」飯田市、福島県会津地方で発電事業を進める会津電力、東京多摩市で活動する多摩電力など各地でさまざまな工夫をこらして、市民主導の「ご当地電力」など、どれも地域に合ったやり方ですすめられていることが分かります。
 実は日本の自然エネルギー資源(太陽光、風力、地熱、バイオバスなど)は、自然エネルギー先進国のドイツや北欧の人たちがうらやましがるほど多く(9倍も!)あるのです。「日本はやればできるのに、言いわけばかりしてなぜやらないの?」という言葉には考えさせられます。
 社会への扉を開く読物として中高生向けに書かれたジュニア新書は、周囲の大人からもぜひ手わたしてもらいたい好著が多く、おすすめです。

科学読物研究会     福田晴代