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分類:技術

本のれきし 5000年

本のれきし 5000年「たくさんのふしぎ」傑作集
辻村益朗/作
福音館書店 ; (1992年)

  現代の日本では、本を読みたいと思えば、書店で購入したり図書館で借りたりして、気軽に本を手にとって自由に読むことが出来ます。
 では、現代のような紙や印刷技術がなかった頃はどうだったのでしょう?実は、世界の各地でそれぞれに工夫して、パピルス(草の茎で作った巻物)や粘土板、竹簡、木簡などの材料に情報が書かれていました。パピルスに書かれた「死者の書」は彩色された美しい巻物として今も残っています。
 さて、紀元前2世紀、エジプトのアレキサンドリア図書館には100万巻ものパピルス本が所蔵され、世界一を誇っていました。ところが、ペルガモン(現在のトルコ)にも大図書館を作ろうと、アレキサンドリア図書館から司書を引き抜こうとしたことにエジプトの王様が激怒して、本の材料のパピルスを輸出禁止にしてしまったのです。困ったペルガモンでは苦肉の策として、羊や山羊の皮をなめした「羊皮紙」で本を作るようになりました。人類は「ページをめくって読むことが出来る綴じられた本」に出会ったのです。粘土板のように重くないし、パピルスのように折れやすくもありません。本の歴史のなかで大きなターニングポイントでした。その羊皮紙はヒツジからの賜り物。羊皮紙は丈夫で、細かい文字を裏表に書くことができ、鮮やかで美しい彩色画もつけられました。製紙法が伝わるまで、西洋では1500年以上も羊皮紙は使われ続け、情報や知識、文学、教養などを伝達・蓄積する本の材料として活躍しました。その恩恵ははかりしれません。
 その後、製紙法の確立と活版印刷術の発明で、本はさらなる飛躍的な発展を遂げますが、基本的な形は羊皮紙の本と変わっていません。

科学読物研究会     市川雅子