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分類:科学・技術

「研究室」に行ってみた。

「研究室」に行ってみた。ちくまプリマ―新書
川端裕人/著
筑摩書房 ; ISBN:978-4-480-68925-2 (2014年12月)

 科学の研究は、どのようにして行なっているのか、どんな分野があるのか、研究者という職業に興味がある高校生に特にお勧めの本です。
 『ナショナルジオグラフィック』日本版公式サイトの連載から、著者が選びに選んで 6人の研究者にしぼって、その研究の内容、方法、研究者の人となりを紹介しています。バッタ、宇宙、ロボット、元素、宇宙エレベーター、地理学と分野も様々で、生き生きと描かれた研究室のルポは、読者に研究のありようを熱く伝えてくれます。中でも、日本初113番元素を発見した森田浩介博士の紹介では、「17年間空振りしても平気な男」として、研究者の粘り強さを余すところなく伝えています。
 実験装置をつくり研究を始めてから17年目、2004年に1つ、2005年に1つ、原子番号30の亜鉛を原子番号83のビスマスに、光速の10分の1ほどの速さでぶつけて融合させ、30+83つまり113番目の新元素を2回立て続けに発見。発見までには、実験装置の設計ミスの部分をすべて手直ししたり、さまざまな装置をいくつもの失敗を重ねて作り上げたり、これでもかというほどの積み重ねがありました。そして2012年に3回目の発見をし、新元素が確認されました。そのときのくだりを読むと、ざわざわと体が震えるような感動を覚えます。
 周期表は米国、ロシア、ドイツ、そして日本の森田博士によって、2019年1月現在で、第7周期(118番目)までが埋め尽くされました。この本で、研究のだいご味を、味わってみませんか。

科学読物研究会     坂口美佳子