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分類:科学技術

かき氷

かき氷 天然氷をつくる
細島雅代 写真   伊地知英信 文
岩崎書店 ; ISBN: 9784265043705 ; (2015/05/31)

 表紙の写真は、鮮やかな赤いシロップがかかったかき氷。木漏れ日のしたに置かれたかき氷は、太陽の光があたったところが宝石のようにきらめいています。なんて美味しそうなんでしょう。セミの声を聞きながら私も食べてみたい!と思いました。このかき氷は天然氷から作られています。
 埼玉県の長瀞で、100年以上前から作られてきた天然氷。それは山間の氷池と呼ばれる専用の池で、手間暇かけて丁寧に作られます。天然氷をつくる氷屋は今では全国でも数件、埼玉県ではたった1軒のみです。この本ではその1軒しかない氷屋、阿左美さんの氷作りを追います。
 夏が過ぎ去ったころ、来年の夏のために天然氷作りが始まります。代々受け継がれてきた知恵と工夫がつまったやり方で、自然の力を借りて、ほぼ人の手のみで作られるのです。毎日毎日、落ち葉を取り除いたり、池が氷の力で壊れない様に周辺部の氷を割ったり、細心の注意を払って氷の手入れをしても、雪が降れば氷は台無しになって作り直さなくてはなりません。自然の恵みと厳しさのなかで、寡黙に、真剣に、透明でかたく澄み切ったよい氷作りを目指す阿左美さんの姿に心を打たれます。こんなふうにして大切に作られた天然氷。本を開く前は、表紙のかき氷の写真にひきつけられましたが、読み終わって本を閉じるとき、ますますこの特別な氷で作られた、ふわふわのかき氷が是非とも味わいたくなりました。阿佐美さんのお店で、いろとりどり、味もいろいろのおいしいかき氷が食べられるそうです。 

科学読物研究会     市川雅子