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分類:科学技術

ミツバチとともに

「養蜂家 角田公次」ミツバチとともに農家になろうA
大西暢夫・写真   農文協・編
農文協 ; ISBN: 9784540121852 ; (2012/09)

 「蜂飼いは耳で花を見るんだ」という養蜂家・角田さんの言葉にまずびっくり。小さいミツバチがたてる羽音をきいて、ミツバチが元気か、花がいっぱい蜜を出しているか、ミツバチ家族は大きくなっているかということまでわかってしまうそうです。それほどきちんと自然を見つめて仕事をすることが必要なのですね。
 ミツバチは巣箱を中心に半径2~3Km程度の範囲を飛び回ってせっせと花の蜜を集めます。花粉や花蜜がいっぱい集められれば子どももいっぱい生まれ、家族はどんどん大きくなっていきます(1匹の女王蜂は2万匹以上の子どもを産むそうです)。養蜂家の仕事はミツバチが持ち帰った蜜をしぼるだけでなく、今どこに花が咲いているかを知り、花盛りにあわせて働き蜂がいっぱい増えるように子育ての時期をうまく調節してやることも大切だそうです。また蜜源になる植物も増やしています。まさにミツバチと二人三脚の仕事ですね。
 巻末の解説には、一晩で巣の中のミツバチが集団でいなくなる「蜂群崩壊症候群」についても書いてあります。巣箱の中の幼虫や女王蜂は残されていて、働き蜂だけがいなくなるそうです。原因はまだ特定されていませんが、角田養蜂場でも50もの群が疾走したことがあるそうで、大変な痛手でしょう。
 四季を通したミツバチの様子や生態の写真が美しく、すっかりミツバチにほれ込んでしまいました。一匹のミツバチが一生かけて集める蜜の量はスプーン一杯程度とか。毎朝パンにつける蜂蜜も、ミツバチたちがせっせと集めた、貴重なものなのです。大切に味わわなければ。

科学読物研究会     小川真理子