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分類:技術

桜守のはなし

桜守のはなし
佐野藤右衛門 著
講談社 ; (2012年)

 佐野藤右衛門さんは、植木職人として京都・仁和寺御室御所に仕える“佐野藤右衛門”の十六代目。京都はもとより、日本全国の名桜の保存につとめる「桜守」です。日本中を飛び回り、傷ついた桜の手当てをしています。
 この本は、写真絵本で、京都弁で書かれています。表紙に写る笑顔の藤右衛門さんが、実際に話してくれているような気がしました。「桜は守りをしないといけない木なんです。手いれではあきません。」この言葉が、桜守の全てを語っていると思います。毎朝の桜畑の見回り。春は新種さがし。夏は、病害虫の注意や種まき。冬は、植え替え、植樹。花の季節以外にたくさんの守りが必要なのです。
 二条城と平安神宮には、八重紅枝垂という同じ種類が育っていますが、違う種類のように見えます。育つ環境により、親が同じでも、違ってくるそうです。それぞれの桜の個性を理解し、守っているのです。接ぎ木を成功させるため、接ぎ穂を金沢の兼六園から京都まで、口にくわえて運んだりもしました。数々のエピソードは、苦労というより、子育てする親の愛情のようです。
 読むと、来年の花見が変わってくると思います。私も、桜の時期に京都や、日本中の桜の銘木に会いに行きたくなりました。
 漢字にふり仮名があり、小学校低学年から読めると思います。

科学読物研究会     吉長聡子