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分類:植物

たねのはなし

かしこくておしゃれでふしぎな、ちいさないのち
たねのはなし
ダイアナ・アストン/文 シルビア・ロング/絵 千葉茂樹/訳
ほるぷ出版 ; ISBN: 978-4-593-50495-4; (2008年3月)

  私は、子供の頃スイカやカキを食べた後、たねを土に埋めて、たわわに実るであろう果実を想像し、ニヤニヤしていた記憶があります。今思えば、取らぬ狸の皮算用とはまさにこのことです。しかし、たねには、ワクワクさせる何かがあるなと感じる気持ちは今も昔も変わりません。今回この本を読んで、たねにはたくさんの知恵や工夫が詰まっていることを知り、たねのふしぎな魅力を再確認することができました。
 本書では、絵本にしては難しいと思える「被子植物」と「裸子植物」という言葉の説明があります。小さな子どもには伝わりにくい言葉ですが、被子植物を「ふくをきかざるたね」としてイチゴやパパイヤ、ブルーベリーなどを美しいイラストで紹介しています。身近な被子植物と、「はだかのたね」として紹介されている裸子植物とを見比べれば、簡単に違いを見つけることができそうです。
 たねは、大きさや色、形などさまざまですが、それぞれいろいろな工夫をしていることも紹介しています。空を飛んでいくもの、広い海を沈まずにただようもの、動物や人に運んでもらうためにくっついて移動するもの、自らはじけ飛ぶもの。たねは、まるで旅人のように根をはる場所へ向けて移動します。そして、条件があった時と場所で、発芽し、成長していきます。条件がそろわなければ、種皮はまるでタイムカプセルのようにいのちを守ります。絶滅した植物が、千年の時を超えて芽を出すなんてとても神秘的だと思いませんか。あらためて、植物が子孫を残すための工夫に頭が下がる思いがしました。

科学読物研究会    澤本早苗